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英語人材が不足するのはなぜ?企業が取り組む採用・育成・定着の対策

「英語力のある候補者はいても、必要な実務経験が合わない」「採用できても、海外とのやり取りが一人に集中してしまう」。英語を使うポジションの人材確保では、募集人数を増やすだけでは解決しない課題があります。

英語人材不足への対策は、英語を使って任せたい仕事を明確にし、採用・育成・業務分担を組み合わせることです。英語力の水準だけで候補者を絞るのではなく、必要な専門性、入社後の支援、提示する条件まで見直すことで、採用方針を具体化できます。

本記事では、英語人材が不足する背景から、採用要件の決め方、選考、育成、定着までを解説します。外資系中小企業の経理・財務、人事、SCM・物流を例に、自社のどこを見直すべきか整理していきましょう。

英語人材不足とは?企業が直面する現状
英語人材とグローバル人材の違い

本記事でいう英語人材とは、英語を使って担当業務を進められる人材です。英文メールを処理する担当者から、海外本社への説明や交渉を担う管理職まで、求められる能力には幅があります。

一方、グローバル人材を採用する際には、語学力に加え、商習慣や価値観が異なる相手と協働する力も評価の対象になります。両者は重なる部分がありますが、海外勤務の経験や国籍だけで判断できるものではありません。採用では、どの国にいたかよりも、どのような相手と、何を担当し、どう仕事を進めたかを確認することが重要です。

不足しているのは人数か、専門性か、対応できる体制か

「英語ができる人が足りない」と感じたら、まず業務が滞っている理由を分けて考えます。処理する仕事が多すぎるのか、説明や交渉を担える人がいないのか、担当者が不在になると対応が止まるのかによって、必要な対策は変わるためです。

例えば、英文資料の処理が追いつかない場合は、業務分担や文書の標準化も検討できます。海外本社へ経営数値を説明できる人がいない場合は、英語力と財務の専門性を併せて確認する必要があります。人数を増やす判断の前に、どの仕事に不足が生じているかを明らかにしましょう。

調査から見えるグローバル人材の確保の難しさ

人材不足を感じている採用権限者を対象とした設問では、グローバル人材も不足していると答えた割合が、日系企業所属の回答者で75%、外資系企業所属の回答者で88%でした。調査全体の有効回答は管理職147名で、2025年11月実施、2026年3月公表の結果です。出典・調査概要

この数値は、英語人材そのものの不足率や日本の全企業の状況を示す統計ではありません。採用計画では、こうした調査を参考にしながら、自社の応募状況、選考で見送る理由、候補者が辞退する理由を確認する必要があります。

英語人材が不足する主な理由
海外との連携が複数の部門にまたがっている

英語を使う仕事は、海外営業や海外赴任に限られません。海外本社への業績報告、海外HRとの制度調整、仕入先との納期確認など、日本国内で勤務する社員にも英語対応が必要な場面があります。

こうした業務を少数の社員が兼任すると、会議の重複や繁忙期に対応しきれなくなることがあります。特に、専門業務と通訳・翻訳を同じ人に任せている場合は、必要な人数を見積もる際に、語学対応にかかる時間も含めなければなりません。

英語力と専門性を同時に満たす人材を探している

英語が流暢でも、決算や労務、需給調整の経験まであるとは限りません。反対に、専門業務に十分な経験があっても、英語を使う機会が少なかった候補者もいます。

さらに、同業界での経験、特定システムの使用歴、管理職経験をすべて必須にすると、候補者の範囲は狭まります。採用が長引いている場合は、条件を一律に下げるのではなく、業務上欠かせない能力と、別の経験で補える能力を切り分けることが有効です。

社内の英語研修が実務につながっていない

英語研修を用意していても、一般的な会話練習だけでは、担当業務で説明や判断ができる状態に到達したかを確かめにくいものです。受講後も上司がすべて英語対応を代行していれば、本人が試す機会も生まれません。

育成を人材不足の対策にするには、「学ぶ内容」と「任せる仕事」を結びつける必要があります。学習時間だけを増やすのではなく、どの業務から本人に任せ、誰が確認するかまで決めることが出発点です。

求める役割と提示条件が釣り合っていない

採用の難しさは、候補者の少なさだけで決まるわけではありません。海外との交渉や部門運営まで求める一方で、給与、権限、支援体制がその職責に見合っていなければ、候補者が入社を選ぶ理由は弱くなります。

担当範囲の広さも、裁量として魅力になる場合と、負担への懸念になる場合があります。「幅広く任せる」と伝えるだけでなく、何を自分で決められ、どの業務には支援があるのかを説明できる状態にしておきましょう。

採用前に整理したい英語力・経験の要件

「英語必須」を具体的な業務に置き換える

「ビジネスレベルの英語力」という表現だけでは、企業と候補者が同じ水準を想定しているとは限りません。英語を使う相手、頻度、方法、話す内容、本人が担う責任まで書き出します。

例えば、求人票では次のように表現できます。

海外本社との月次会議に参加し、担当領域の予算と実績の差異を説明します。日常の連絡は英文メールが中心です。会議では担当数値に関する質問に回答し、判断が必要な事項は国内の上司へ相談します。

これは記載例であり、実際の業務に合わせた調整が必要です。メールを読めればよい職務と、その場で質問に答える職務を分けることで、選考で確認する能力も明確になります。

TOEICなどのスコアと実務対応力を分けて評価する

TOEIC Listening & Reading Testが測定するのは、英語を聞く力と読む力です。スコアは参考になりますが、話す力や書く力、専門的な判断までを直接示すものではありません。

点数の基準を設ける場合は、担当業務との関係を説明できるか確認してください。直近の英語使用頻度、担当していた会議や資料、相手とのやり取りも聞き取り、試験で測っていない能力は面接や実務課題で評価します。スコアを確認する目的と、選考で見極める内容を分けておくことがポイントです。

経理・財務、人事、SCMで必要な専門性を明確にする

英語力を評価する題材は、募集職種の仕事に合わせます。経理・財務の候補者に一般的な雑談だけを求めても、数値の背景を理解して説明できるかまでは分かりません。

職種 英語を使う業務の例 選考で確認したいこと
経理・財務 海外本社への月次報告、予算と実績の差異説明 数値の変化について、根拠と業務への影響を説明できるか
人事 海外HRへの採用状況の報告、日本の人事制度の説明 国内事情を伝え、相手の認識や懸念を確認できるか
SCM・物流 海外拠点との需給調整、仕入先との納期交渉 在庫・納期への影響を整理し、優先順位と代替案を示せるか

上記は職務と評価を結びつけるための例です。同じ職種でも担当範囲は異なるため、募集ポジションで実際に起こる場面を選びます。発音や話す速さだけに引っ張られず、内容の正確さ、説明の筋道、確認する力を評価しましょう。

入社時の必須条件と、入社後に習得できる条件を分ける

要件は「入社直後に必要」「入社後に習得可能」「あると望ましい」の三つに整理すると、採用担当者と現場の認識を合わせやすくなります。

例えば、決算業務を自力で進める職務であれば決算経験を優先し、社内独自の報告様式やシステム操作は入社後に学ぶ設計が考えられます。英語での会議進行も、当面は上司が担えるのであれば、担当数値の説明から段階的に任せる選択肢があります。

ただし、「育成できる」という判断には、指導者と時間の裏付けが必要です。支援できない業務を習得可能と扱うと、採用後に本人へ無理を求めることになります。

英語人材不足を補う採用方法と選考のポイント
採用手法を、対象者と社内で確保できる工数から選ぶ

専門の人材紹介会社を利用する場合は、対象職種、企業規模、必要な英語力への理解を確認します。採用市場で得られる情報をもとに、募集要件や提示条件の調整まで相談できるかも判断材料になります。

求人媒体では仕事内容と条件を公開して応募を募り、直接スカウトでは経歴を確認して個別に声をかけます。後者には、候補者の検索、文面の作成、返信対応を続ける工数が必要です。費用だけで決めず、誰がどこまで採用活動を担えるかを踏まえて組み合わせましょう。

求人票では、働く場面と支援体制まで伝える

求人票には、担当業務、報告先、チーム構成、英語の使用場面、給与の範囲、働き方を記載します。海外会議があるなら頻度や時間帯、一人で担当する業務があるなら相談先も示すと、候補者が入社後を想像しやすくなります。

外資系中小企業の採用では、「経営層に提案できる」「担当領域を広く持てる」といった特徴も、実態に即して伝えたい情報です。ただし、担当範囲を曖昧にしたまま裁量の大きさを強調するのは避けます。英語版の求人票を用意する場合も、日本語版と職責や条件が一致しているか確認してください。

英語面接と実務課題で、判断・説明・確認の力を見る

英語面接では、過去の担当業務について、課題、対応、結果を説明してもらいます。さらに「なぜその対応を選んだのか」「相手と意見が違ったときにどう進めたか」を聞くと、語学力と業務上の判断を併せて確認できます。

実務課題には、架空の数値を使った業績説明や、納期変更を知らせる英文メールなどが使えます。評価項目は、必要な情報を落としていないか、根拠を示せるか、不明点を確認できるか、相手に求める行動が明確か、といった内容です。

候補者には目的と所要時間を伝え、同じ職務の選考では課題と評価基準をそろえます。勤務先の機密資料は求めず、翻訳ツールを使ってよいかも事前に決めてください。自力での英語対応と、ツールを使った仕事の進め方を確認したい場合は、それぞれ別の課題にします。

選考を止めず、候補者が離れる段階に応じて改善する

海外本社の面接や承認が必要なら、募集開始前に面接担当者、確認事項、給与の承認範囲を決めます。国内面接を終えた後で条件が追加される状態を避け、候補者には次の連絡予定を伝えましょう。

採用活動を見直す際は、応募数だけでなく、どの段階で候補者が離れているかを確認します。次の表は、改善点を探すための目安です。状況だけで原因を決めつけず、候補者や紹介会社からのフィードバックも併せて検討してください。

採用活動の状況 主に確認すること
応募やスカウトへの返信が少ない 必須条件が多すぎないか、仕事内容や給与が伝わっているか、対象者に届く方法を選んでいるか
書類選考でほとんど見送りになる 人事・現場・紹介会社で候補者像が一致しているか、経歴だけで判断しすぎていないか
面接途中の辞退が続く 選考期間や課題の負担、役割の説明、候補者の疑問への対応に問題がないか
条件提示後に辞退される 給与、職責、働き方、入社後の支援に認識の差がなかったか
採用と並行して、既存社員の英語力を育てる

必要な時期と社内の能力から、採用・育成の配分を決める

専門業務を近く引き継ぐ必要があり、社内に代わりの担当者がいない場合は、外部採用を優先して検討します。一方、業務経験を持つ社員がいて、英語を段階的に身につける時間を確保できるなら、社内育成も選択肢になります。

判断では、研修費だけでなく、指導にかかる上司の時間や、習得までの業務を誰が担うかも見積もります。急な欠員を育成だけで埋めようとせず、当面の対応と将来の体制づくりを分けて考えると、無理のない計画を立てられます。

担当業務に直結する目標と学習時間を用意する

育成目標は、「英語力を上げる」から、仕事で何をできるようにするかへ具体化します。例えば、「海外会議で担当数値の増減理由を説明する」「納期変更の理由と代替案を英文メールで伝える」といった目標です。

実際に使う用語や文書の形式を練習に取り入れ、上司と本人で到達時期を決めます。受講を通常業務に上乗せするだけでは続けにくいため、業務量と学習時間の両方を調整することが必要です。

準備・実践・振り返りを一つの流れにする

実務で使う機会は、リスクと難易度に応じて段階的に設けます。会議なら、伝えたい内容を整理し、想定質問への回答を練習したうえで、一部の説明を本人に任せる方法があります。

会議後は、伝わらなかった点や答えにくかった質問を確認し、次回の練習に反映します。支援者は文法や発音の修正だけに終始せず、説明の順序、情報の不足、相手への確認方法にもフィードバックを行います。重要な判断を伴う業務では、独力で任せる範囲を事前に決めておきましょう。

試験の点数に加え、業務を任せられる範囲を確認する

学習の成果は、受講率や試験の点数だけでなく、どの仕事をどの程度の支援で進められるようになったかで確認します。例えば、英文報告の下書きに必要な修正、会議で自ら回答できた質問、上司へ相談した内容を振り返ります。

業務の難易度が変われば必要な支援も変わるため、修正件数の少なさだけを目標にするのは適切ではありません。正確に伝えられたか、必要な場面で確認や相談ができたかまで含め、次に任せる業務を判断します。

採用した英語人材が活躍・定着する環境をつくる
国内外の上司と、役割・優先順位・権限をそろえる

日本法人と海外本社から異なる指示を受ける職務では、本人の調整力に頼るだけでは負担が大きくなります。入社前後に、主な報告先、判断できる範囲、指示が重なったときの優先順位を上司同士で合意しておきましょう。

入社時には、関係者、会議体、承認手続き、相談先も共有します。英語ができることと、社内事情を理解していることは別です。業務を任せた後も、期待した役割と実際の仕事に差がないか、本人と確認する機会を設けます。

通訳・翻訳の依頼を集中させず、専門業務の時間を守る

英語ができる社員に、他部署からの翻訳や会議同席の依頼が集まると、本来の職務に使う時間が減ります。依頼を受ける範囲と優先順位を決め、追加業務がどの程度発生しているかを把握してください。

定型メール、用語集、報告様式を共有し、他の社員でも対応できる仕事を増やす方法があります。補助担当者や不在時の引き継ぎ先も決めておけば、一人の経験や語学力だけに依存する体制を見直せます。

専門職としての成果を評価し、成長の機会につなげる

評価では、英語を使った量に加え、そのやり取りが担当業務にどう貢献したかを確認します。報告の正確さ、業務改善、関係部門との調整など、職責に沿った目標を設定することが基本です。職務として担う通訳・翻訳などの貢献も、評価から漏れないようにします。

面談では、本人が伸ばしたい専門性と、会社が今後任せたい仕事をすり合わせます。担当範囲を広げる際には、権限、業務量、処遇も一緒に見直してください。英語対応ができる人として固定せず、専門職としてのキャリアを描けることが、定着を考えるうえで重要です。

AI翻訳や外部サービスをどう組み合わせるか

AIで補助する工程と、人が判断する工程を分ける

AI翻訳は、英文の下書きや内容理解を補助する用途で検討できます。導入する際は、使用するツールを実際の業務に近い題材で試し、修正や確認に必要な手間も含めて評価しましょう。

例えば、納期変更のメールを作成する場合、英文の草案作成をAIで補助しても、提示する納期が実現可能か、相手にどの条件を伝えるべきかは担当者が確認します。訳文を作る工程と、会社として判断する工程を分けることで、必要な人材の役割も明確になります。

入力できる情報と、翻訳結果の確認責任を決める

AIの利用では、営業秘密をクラウドAIへ入力しないなど、情報の取り扱いへの注意が必要です。社内で認めるサービスと入力できる情報の範囲を決め、契約条件やデータの利用方法を確認してください。

未公開の財務情報や従業員情報を、確認なしに入力する運用は避けましょう。出力内容は、特に金額、数量、期日、条件、否定表現を確認し、重要な連絡では誰が最終確認するかを定めます。確認できる人がいない状態で、翻訳結果をそのまま業務判断に使わないことが基本です。

外部の通訳・翻訳は、頻度と専門性から使い分ける

年に数回の会議や一時的な資料翻訳は、外部サービスの利用も選択肢になります。費用だけでなく、専門用語への対応、準備時間、納期、守秘の条件、社内で必要な確認作業まで含めて比較します。

日常的に海外部門と調整する職務では、通訳や翻訳を依頼しても、社内事情を把握し意思決定する担当者は必要です。外部サービスに任せる範囲と社内に残す責任を決め、業務量の変動や一時的な負担を補う方法として組み合わせましょう。

まとめ|英語人材不足は、任せる仕事を明確にすることから

英語人材不足に対応するには、「英語ができる人を採用する」という方針を、具体的に任せる仕事と必要な能力へ落とし込むことが欠かせません。専門性と英語力を分け、入社時に求める能力、育成できる能力、外部サービスで補える業務を整理します。

そのうえで、求人票と選考方法を具体化し、入社後の役割、支援、評価までつなげて設計しましょう。最初の一歩は、採用したいポジションについて、現場責任者と人事が「英語を使う相手・場面・頻度」「任せる判断」「提供できる支援」を共有することです。

キャリアスカウトジャパンは、外資系中小企業の経理・財務、人事、SCM・物流分野に特化した人材紹介会社です。専門性と英語力の両方が求められるポジションの採用をお考えの際は、ぜひご相談ください。

経理人材不足の原因と解決策|外資系企業が直面する課題と実践的対応

——– キャリアスカウトジャパンについて ——————————————–
キャリアスカウトジャパン株式会社(CSJ)は、経理・財務、サプライチェーン・物流、人事の専門性に特化し、関東(東京・神奈川・埼玉・千葉他)に所在する幅広い業種の外資系優良中小企業へのハイレベルの人材紹介を行っています。

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